大判例

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福岡高等裁判所 昭和31年(う)295号・昭31年(う)296号・昭31年(う)293号・昭31年(う)294号・昭31年(う)292号・昭31年(う)291号・昭31年(う)298号・昭31年(う)297号 判決

原審第四回公判調書を検するにその手続調書の部分には順次証拠調別紙証拠関係カード記載のとおり、被告人の供述別紙被告人供述調書のとおり、検察官の意見別紙論告要旨のとおり、弁護人の意見別紙弁論調書のとおり、となつているのにかかわらず、記録編綴の順序は手続調書次に弁論調書次に証拠関係カード次に証人の供述調書次に被告人等の供述調書次に論告要旨となつていること洵に所論のとおりである。然し編綴の順序が右のとおりであるからとて公判手続が所論のとおり弁護人が公判冒頭に意見を述べその後証人尋問同被告人質問が行われ次いで検察官が意見を述べたと断定することはできない。若し左様な違法な手続で公判審理が行われたとすれば必ずや弁護人が異議の申立をなすはずでありその申立があれば必ず公判調書にその旨の記載があるはずで、之を欠如すれば公判調書の正確性につき異議申立がありその場合にはその旨を調書に記載されるはずである。然るに公判調書中異議申立ありし記載もなく公判調書の正確性につき異議申立ありし形跡も記録上存しない。そうだとすれば原審第四回公判期日における審理は記録編綴の順序で行われたのでなく手続調書に記載された前記順序により全く合法的に進行したものと云わねばならない。然るに記録の編綴が前記のとおりになつているのは検察官の意見陳述が書記官の手記にかえて検察官提出にかかる論告要旨と題する書面が引用されたことと弁護人の弁論が手続調書の本文中に記載されないで別紙に記載されたことによるものと推断できる。而して公判調書はそのうちの手続調書に記載された審理の順序と編綴の順序が符合しないからとて手続調書に記載された書類が現存する以上不適法な調書となすことはできない。それ故原判決は不適法な公判調書によつてなされた違法があるとなす所論は採用できない。論旨は理由がない。

(裁判長裁判官 西岡稔 裁判官 後藤師郎 裁判官 中村荘十郎)

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